宇治川派流・伏見港 植生解説

【木本植物(木)】
★ソメイヨシノ(バラ科サクラ属)
・エドヒガンとオオシマザクラ(正確にはオオシマザクラ×ヤマザクラ)の雑種:2014年
・全てソメイヨシノは単一の樹のクローン(接ぎ木や挿し木)であることが確認されている:2011年
↑もともと予想はされていた。桜前線に使われるのも全て同じ遺伝子を持つ(差がない)から。
・起源説の一つだった韓国の王桜はエドヒガン×オオヤマザクラで全くの別物:2017年
★シダレヤナギ(ヤナギ科ヤナギ属)とユキヤナギ(バラ科シモツケ属)
・シダレヤナギだけ特別に有名だけど、マルバヤナギやギンドロの様に葉が細くないものも多い。
・ヤナギの仲間は水に強いので川沿い、岸辺などでよく見かける。
・花街のことを花柳界と呼び、入り口にはよく柳が植えられている。見返り柳。
・ユキヤナギは柳ではなくバラ科。実は石川県では絶滅危惧Ⅱ類(ちょっとヤバい)の扱い。
★旧ニレ科 ケヤキ(ニレ科ケヤキ属)とムクノキ(アサ科ムクノキ属)とエノキ(アサ科エノキ属)
・APG植物分類体系(←遺伝子によって分類する体系)によってニレ科とアサ科に分かれた。
・これまでの分類は形態的な特徴によって分類していたため、この3種(旧ニレ科)はよく似ている。
・水辺によく生え、ほうきをひっくり返した様な上に開いた樹形になる。
・樹皮の違い【ケヤキ:鱗状にはげる、ムクノキ:縦にはげる、エノキ:象の足みたい】
・種子の違い【ケヤキ:枝葉ごと風に飛ばされる、エノキ・ムクノキ:鳥に食べられて運ばれる】
★ヤドリギ(ビャクダン科ヤドリギ属)
・他の木の枝に寄生して成長する! 冬に宿主の葉が落ちるとよく目立つ。
・ケルト文化の神官ドルイドはヤドリギを薬として重宝した、とされている。
↑ローマの博物学者である大プリニウスが著した「博物誌」(77年)に記録されている。
・欧米では「ヤドリギの下ではキスを拒んではいけない」と言う風習がある。
↑ハリーポッター,トイストーリー,ママがサンタにキスをした などなど
・北欧神話の神殺しの槍「ミストルティン」はヤドリギ
★ツバキ/ヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属)とサザンカ(ツバキ科ツバキ属)
・ツバキは花が丸ごと落ちる。サザンカは花びらがバラバラに落ちる。
・ツバキはカップ状の花(完全に開かない)。サザンカはほとんど完全に開く。
・ツバキは葉柄に毛が生えない。サザンカは葉柄に毛が生える。
・ツバキ科の多くは熱帯。ツバキ・サザンカ・チャは温帯に適応した珍しい種で、中でも日本は北限。
★センダン(センダン科センダン属)
・栴檀(せんだん)は双葉より芳し→センダンではなく白檀(香木)のこと。
・名前の由来はセンダマ(千玉)、10月‐12月頃に大量の実をつける。人間には毒。
★カナメモチ(バラ科カナメモチ属)
・かたーい葉っぱに細かい鋸歯がある。葉の縁を指でなでてみよう。
・「若葉が」はきれいな紅色で生え、徐々に緑になっていく。
★アジサイ(アジサイ科アジサイ属)
・花びらに見えるのは「がく」です。よく見ると「がく」の中心に花びらが別にあります。装飾花。
・取り込まれたアルミニウムの量で色が変わる。基本は赤、酸性だとアルミニウムが溶け出し青に。
・有毒で飲食店での事故も起きている(2008年)。実は毒成分がまだ確定されていない。

【草本植物(くさ)】
★キュウリグサ(ムラサキ科キュウリグサ属)
・葉をもむとキュウリに似た臭いがする。
・サソリ型花序:つぼみの付いた部分がサソリの尾の様に巻き込まれており,徐々に開きながら順番に花が咲
く。

★コオニタビラコ(キク科ヤブタビラコ属)
・冬に地面に張り付くように放射状に葉を展開する
→タビラコ(田んぼに平たくはえる子),ホトケノザ(仏の座:仏様の座る台座)と呼ばれる。
・春の七草のホトケノザはこのコオニタビラコを示す。(ややこしい)

★ホトケノザ(シソ科オドリコソウ属)
・種名が「ホトケノザ」だが春の七草ではない!(春の七草のホトケノザはコオニタビラコのこと)
・葉の形が楕円形に近い。よく似ているヒメオドリコソウは葉の形が三角形に近い。

★ヒメオドリコソウ(シソ科オドリコソウ属)
・ホトケノザとよく似ているが、葉の形が三角形に近いのが見分けポイント。
・明治時代に日本に定着した外来植物。

★キランソウ(シソ科キランソウ属)
・「筋骨草」と呼ばれ生薬として扱われる薬草。
・別名が「ジゴクノカマノフタ」と物騒だが,薬草として効能が高く病気を治して「地獄の窯に蓋をする」
ことから来ているという説がある。